エンジニアの仕事はつらい?私が自分らしく働けるようになるまで

ワーク
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はじめに:仕事が辛いと思ったこと、ありますか?

 エンジニアとして働いてきて、「辛いな」と思った瞬間はこれまでに何度かありました。
でも今振り返ると、仕事そのものが大変で辛いと感じたのは10%で、それ以外の90%は人間関係の方で辛いと感じたことの方が多かったと思います。特に辛かった時は“自分で自分を追い込んでいた”ことが原因だったように思います。

 たとえば、「私ばかり頑張ってるのに、なんであの人はやらないんだろう」ってイライラしてしまったり、自分が苦しい分、他人に対しても厳しくなってしまったり。
本当は誰かを責めたいわけじゃないのに、自分の心がいっぱいいっぱいで、余裕をなくしていたんだと思います。

 仕事そのものというより、人間関係に疲れていた。
「大変なのは人との関係性の方かも」と思うことが、大半でした。

 それでも仕事において「本当に大変だ!これは辛い仕事だ!」と思うことは、開発品で不具合が出たとき。お客さん対応が本当に大変だと思います。ありがたいことに、私が担当している製品では、これまで大きな不具合が起きたことがなくて。今のところ、そういったお客さん対応を経験せずにすんでいますが、実際、同僚が不具合に関するお客さん対応している様子をそばで見ていても、「この経験はしたくない…」と思うのが本音です。

仕事に追われ、自分を見失いかけていた日々

 私が仕事自体が特にしんどかったと思ったのは、入社して2〜3年目くらいのころ。
一つの製品開発が終わってもまた新たな開発プロジェクトが休む間もなく始まって、一息つく暇がなかったのですよね。
「このループ、いつまで続くんだろう」と思いながら、毎日疲れ果てて帰っていたのを覚えています。

 夜寝ても夢の中でまで仕事のことを考えてしまって、もう思考も心も完全に仕事に支配されていました。
 キャリアを築きたい気持ちと、無理が重なって、自分が自分でいられないような感覚でした。

新人時代の焦りと、自分を見失っていた過去

 思い返すと、新人の頃の私はとにかく焦っていました。
「早く一人前にならなきゃ」と思い、できないことを無理に抱え込み、結果的にどれも中途半端になって自信を失う…。
 周りがすごく優秀に見えて、自分だけが遅れている気がして、ひとりで勝手に落ち込んでいました。

体が教えてくれた「無理しすぎ」のサイン

 そんな状態が続いていたあるとき、体に不調が出はじめました。
卵巣が腫れて、生理の出血が長引くようになり、婦人科に通うようになって…。
医師からは「ストレスの影響もあるかもしれない」と言われ、初めて「このままじゃだめだ」と気づきました。

 薬で落ち着いたとはいえ、体を壊してまで働くことの意味に疑問を持った瞬間でした。
“健康じゃなければ、何もできない”——その当たり前のことに、ようやく気づかされたのです。

ドイツで出会った、もうひとつの働き方

 ちょうどそんな頃に、ドイツで働く行く機会がありました。
現地で働く人たちを見て驚いたのは、「効率よく働いて、さっと帰る」のが当たり前だということ。
遅くまで会社に残っていることが評価される日本とは、まったく違う空気がそこにありました。

「どうすればもっと効率的に進められるか」
「自分の時間も人生も大切にしながら、働ける方法はあるのか」
 そんな視点に出会えたことで、私の中で仕事との距離感が少しずつ変わっていきました。

働き方改革と、定時退社の空気

 ここ数年で、日本でも少しずつ働き方改革が進んできました。
「定時で帰る方が効率的」という空気が、前よりは出てきた気がします。

 ドイツから帰ってきた私は、すっかり“定時で帰る人”キャラに(笑)
もしかしたら陰で何か言われているかもしれないけど、もう気にしていません。
「帰ること」は悪じゃない、むしろ効率よく働けている証拠だと私は思っています。

定時退社で得た、効率と健康

 早く帰るようになってから、むしろ仕事の質も上がったと感じています。
遅くまでダラダラ残っていた頃よりも、時間を意識して集中することで、効率もアップ。
そしてなにより、心も体も軽くなりました。

 昔はストレスでやけ食いしてしまうこともありましたが、今はそんなこともありません。
ちゃんと自分の時間を持ち、リフレッシュして、翌日に備える。
そんな働き方の方が、私には合っていると今は確信しています。

「自分に合った仕事」を見つけるまで

 半導体業界にいても、すべての仕事が自分に合うわけじゃありません。
新人のときに検査工程の実習に入ったことがありますが、単純作業がどうしても苦手で…。時計ばかり気になって、全然時間が過ぎない。「つまらない」がしんどかったです。

顕微鏡で製品となったウェハに傷はないかを確認する作業だったのですが、顕微鏡で見ているうちに睡魔が、、、睡魔との戦いはなかなか辛かったことをいまだに思い出します。

今やっている開発の仕事は、タイムマネジメントが必要な忙しさはありますが、やりがいがあり、私には合っていると感じています。
半導体に関わる仕事なら何でも言い訳ではないけれど、自分に合った形で関われば、仕事に非常にやりがいをもって働けると。それを今、実感しています。

おわりに:私はマラソン型。時間をかけて育つタイプ

私は、何でもすぐにできるタイプではありません。
でも、時間をかけて少しずつ理解を深め、積み重ねていくことで、着実に力をつけていく“マラソン型”だと思います。

すぐに結果が出なくても、じっくり続ければ必ず実を結ぶ。
そう信じて今まで走ってきたし、ようやく仕事がうまく回るようになってきたのも、そんな成長の積み重ねのおかげです。

あの頃の私に、今ならこう言ってあげたい。
「焦らなくて大丈夫。あなたのペースで成長すればいいんだよ」って。

私が学生の方によくアドバイスするのは、「自分のことを知ること」です。自分を知ることで「私は私、自分のペースで確実にやろう。」と思えるし、他人と比較することも少なくなる。自分に合う方法で努力することが大切なので、自分はどんなタイプなのか知ることは非常に重要です。