私が大学へ入学した時は半導体に関わる仕事がしたいとは全く思っておらず、プログラマー志望だったことを最初の投稿に書きました。この投稿では半導体に興味を持ったきっかけについて書いてみようと思います。
薄っぺらい理由で憧れたプログラマー
プログラマーを志望したきっかけはある映画の主人公がプログラマーで、パソコン一つで何でも出来たことがカッコよく見えたから。プログラミングの経験があったわけでもなく、ただの憧れ。とても薄っぺらい理由でした。薄っぺらすぎてインターネット上にさらすのがとても恥ずかしい。(でも人は目標をもって努力をすれば、夢を叶えることができることをこのブログでは発信していきたい。)
大学はプログラミングが学べる工学部へ進学しました。大学で学ぶプログラミングは全く楽しいとは思えず、むしろロジカルに考えることが苦手な私にはなぜこのプログラムは動かないのか、どうしてエラーがでるのか分からず、フラストレーションが溜まっていくいっぽうでした。プログラミングが分からな過ぎて友達に教えてもらっていました。当時学んでいたプログラミング言語はCでした。今、大学では何のプログラミング言語を学ぶのかな?まだC言語を講義で学んだりするのかな?今はPythonかな?
そんなこんなでプログラムが好きになれなかった私は、プログラマーになる夢をあっさりと諦めるようになりました。
ほんの小さな興味がきっかけで繋がった半導体エンジニアへの道
プログラマーになりたくて工学部に進学した私。実はその時同時に私はこっちの勉強の方が向いているなと思う分野がありました。それは固体物性工学。固体物性工学は簡単に言ってしまえば、金属、絶縁体、半導体の物質を原子、電子レベルで学ぶ学問です。この時点では何が面白いのかはまだ自分では分かっていませんでした。ただプログラミングよりはこっちの勉強の方がしっくりくる、そういうレベルでした。そしてこの講義の担当教授のY教授は後に私の進路を大きく左右する人物の一人となるのでした。
電子回路を学ぶ上で絶対外せないのがトランジスタです。トランジスタは半導体で構成されているデバイスです。当時の講義や実習レベルでは三本足のバイポーラトランジスタを扱うのですが、このバイポーラトランジスタのベースに小さな電流を流すとコレクタ・エミッタ間に大きな電流が流れ増幅するという機能がとても印象に残りました。この増幅のからくりが分かるのが固体物性工学の応用編ともいえる電子デバイス学です。トランジスタの増幅の原理を電子レベルで、半導体の中で何が起こっているのかを定性的に理解できたことがすごく面白かったのです。

このようにトランジスタの増幅機能という小さな興味が、私の半導体エンジニアへの道のきっかけになったのでした。そしてY教授に学部の勉強は専門ではなく、基礎であること。そして専門の勉強をするためには大学院に行かなければ専門の勉強をしたことにならないと教えて頂き、半導体の専門の勉強をしたいという気持ちが芽生えるようになりました。そして半導体の研究をするべく大学院受験を決意しました。大学院受験や大学院での研究の話、そして博士号を取得した話はまた別の投稿でするようにします。
実は現在プログラミングの勉強をしている
大学院で半導体の研究をしていているからといってプログラミングから逃れるわけではないことを学生時代に経験しました。複雑な数式を計算する場合、手計算よりプログラミングの方がミスが無くなるからです。大学院時代も結局、嫌々勉強をかねてプログラミングをする機会がありました。
そして現在Pythonを勉強中です。なぜかというと、自分の業務の中にはルーチンワークもあって、これをプログラミングによって自動処理をすることができたら、他の業務に時間を割くことが可能だなと思って勉強しているのです。大量の試作品の測定データはほとんど機械が行っていて、この測定データを人間がまとめていたら、ミスも起こるし膨大な時間が必要なので、プログラミングで一括にまとめられるようにするためです。
今まで人がデータまとめをしていたのですか?と質問されそうですが、答えはNoです。私が入社した頃はすでにExcelのVBAでデータをまとめていました。しかし現在ではVBAを扱える人が少なく、測定する項目も試作品や着目する特性によって変わったりするので、データまとめ用のVBAが使えなくなっていきました。新規の評価項目は仕方なく手を動かしてデータを整理するということもやっていて、とても時間がもったいないと思っていました。
Pythonは今はやりのプログラミング言語なだけあり、できることも幅広くて面白いなと思います。データまとめ以外にも他のタスクの自動化にも応用が利きそうだなと思いますし、個人的には機械学習に興味があります。まだ自分のルーチンワークの自動化にフォーカスをして学んでいますが、プログラムが動くと楽しいです。あれだけ嫌いだったプログラミングが面白いと思う日がくるなんて学生の時は思ってもみませんでした。
結局プログラミングも目的があるから学ぶモチベーションが続くのであって、漠然とプログラミングを勉強していても面白くもなんともないと思います。だから私が学生の頃プログラマーを断念したのはプログラミングでどうしたいのか、そういう明確な目的が無かったから夢で終わってしまったのだなと思います。
まとめ
始めはただかっこいいという理由で志望したプログラマーもプログラマーになって何がしたいのか目的が無かったので、あっけなく挫折しました。トランジスタの増幅機能のメカニズムを理解することで半導体に興味を持った私は現在半導体製品の開発を仕事にしています。小さな興味から始まった私のキャリア。なぜ半導体の分野で仕事をしようと決心したのかについては、大学院時代の話になりますので、別の投稿でお伝えしようと思います。