女性エンジニアのキャリア形成と職場の実態:15年働いて見えた「理想とリアル」

エンジニアの仕事・キャリア

 就職活動中、私が一番不安だったこと。それは「男性が圧倒的多数の半導体業界で、女性の私はキャリアを築いていけるのか?」という、長期的な視界の不透明さでした。

 大学院で専門性を磨いても、ロールモデルがいない環境で働き続けるイメージが持てなかったのです。

 あれから約15年。アラフォーになった今、現場で感じている「女性エンジニアとしてのリアル」を包み隠さずお伝えします。

1. 専門性の世界に「性別」はない

 結論から言うと、私はこれまで「女性だから」という理由で仕事の内容に制限を受けたり、差別を感じたりしたことはほとんどありません。

 半導体エンジニアの仕事は、腕力や筋肉量を必要とする肉体労働ではありません。論理的な思考、データの解析、技術的な提案……これらはすべて、性別に依存しない能力です。

 たまに重い測定装置を運ぶこともありますが、台車を使えばいいし、周囲に手伝いを頼めば快く協力してもらえます。「純粋に技術にフォーカスできる」という点は、この仕事の最大の魅力であり、平等な部分だと感じています。

2. 現場のリアル:制度と「心理的ハードル」のギャップ

 仕事そのものは平等でも、人間関係や職場の風土には、やはり「マイノリティ(女性)」ならではの難しさも存在します。

男性上司への「生理休暇」の相談

 私の会社には有給とは別の「生理休暇」制度があります。しかし、男性上司に対して「生理なので休みます」と伝えることに抵抗を感じる女性社員がいるのも事実です。

 制度があることと、それを気兼ねなく使える雰囲気があるかは別問題。こうした心理的なハードルをどう乗り越えるか、あるいは周囲がどう配慮するかは、これからの課題だと感じています。

「服装」に対する無意識の視線

 30代前半の頃、忘れられない出来事がありました。  夏の暑い日、事務所でTシャツ姿で仕事をしていた私に、先輩女性エンジニアがこうアドバイスをくれたのです。

 「男性が体のラインを見ることもあるから、あまりぴったりした服は着ない方がいいよ」

 そのTシャツは露出の多いものでも何でもない、ごく普通の普段着でした。ただ「暑いから」と機能性を重視していた私にとって、その指摘はショックでした。「エンジニア」として見られていると思っていた場所で、急に「性別」を突きつけられたような感覚になったからです。

 それ以来、私は無意識に「体のラインを拾わない服」を選ぶようになりました。これは、男性主体の職場において、女性が静かに抱えている「小さなストレス」の一つかもしれません。

3. キャリアの継続:出産・育児は「前向きな中断」

 今の半導体業界において、「寿退社」はもはや死語です。

 私の周りでも、出産・育児を経て復帰し、さらにキャリアを積んでマネジメント層(幹部社員)へ昇進する女性は珍しくありません。

パートナーの協力という「鍵」: キャリア形成において、家事・育児に協力的なパートナーの存在は不可欠です。これから結婚を考えるなら、「共にキャリアを支え合えるか」という視点は、技術習得と同じくらい重要になります。

育休を「学び」の期間にする: 私自身、育休中は隙間時間に英語の勉強を続けていました。キャリアの「中断」を「スキルアップの準備期間」と捉えることで、復帰への不安を前向きな期待に変えることができました。

まとめ:会社の「風土」を自分の目で確かめて

 女性エンジニアとしての道は、決して不可能ではありません。むしろ、専門性を武器に自立できる素晴らしい職業です。

 ただし、働きやすさは「会社の制度」以上に「職場の風土」に左右されます。

 就職活動ではぜひリクルーターに、「実際に育休から復帰して活躍している人はどのくらいいるか」「その人たちはどんな働き方をしているか」を具体的に聞いてみてください。

 あなたが「自分らしく」エンジニアとして歩み続けられる場所は、必ずあります。